イギリス、欧米の文化・離婚事情 2

最近では離婚成金として有名になったのは元ビートルズのメンバー、ポールマカットニーさんの元妻ヘザーさん。彼女も結婚4年目でしたね。推定24億ポンド(約30億円)を手にしたといわれています。

「神」とまでいわれた彼にこんなことをしたヘザーさんはもちろんイギリスに住むことは困難。アメリカに移り住み、楽しく暮らしているようです。ある英国人上流階級の友人が昔みたいだわ、と言っていました。なにが昔なのかと思ったら、アメリカがイギリスの植民地だったころ、イギリスに住めなくなった人間はみなアメリカに逃げていったそうです。

そういえば英国人のご年配の方は今でもアメリカを「逃げて行った人たちの国」と呼ぶことがあります。世界広しといえども、アメリカをこんなふうに呼んでいるのは英国人だけでしょう。

とにかくこのままでは欧米社会は離婚成金たちでいっぱいになってしまう・・そんな危機感から生まれたのが prenuptial agreement, 一般的には prenup(プレナップ)と呼ばれているものです。もともとはアメリカボストンの上流階級(ようするにイギリス人の血をひく方々、WASPです。WASPについてはまた別の回にご説明します)を中心にひろまりました。ここ20年くらいのことです。

これは、結婚前に離婚したときの条件を決めておくアグリーメントです。たとえば、結婚して5年以内に離婚したら一切財産を受け取らない、5年後は1年ごとに5千万円ずつ増えていく、といったぐあいです。もし男の子がいれば「ボーナス」としてほかに5千万円、など結婚前から離婚のことを考える???とロマンティックとは程遠いことが起こります。

でも、「イギリス、欧米の文化・離婚事情1」で書いたような事情を考えれば仕方がないのでしょう。ポールマカットニーさんもヘザーさんとの結婚が決まった時に周りからさんざんこのプレナップを作成するようにとアドバイスされたのに「自分たちは愛し合っている。彼女はそんな女性ではない」と公言。

その彼の純粋さが24億ポンドになったのですから、この離婚後多くの方々がプレナップを作成するようになったことにはうなずけます。

ちなみにポールマンカットニーさんは、これにこりたのか、新しい彼女は資産家のお嬢さんで彼女自身キャリアウーマンの方ですね。

周りからなんと言われようと次々と結婚離婚を繰り返し、財産をどんどんふやしていく女性を「ラダーを登る女性」といいます。ラダーとははしごのこと。

つまり、はしごを次々とのぼるように結婚離婚を繰り返し、そのたびに財産が増える、うまくいけば階級もあがるという意味です。「はじめのラダーとしてはこんなものでしょう」と結婚相手を酷評する女性の話を聞くと本当にたくましいと思ってしまいます・・。

きっと今後、何度も結婚されるのでしょうね。

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