英国のバレンタインデー

バレンタインですね。

日本のバレンタインデーは、義理チョコなども含めたチョコレート商戦で熱くなる時、欧米のマーケティング関係者にとっては、まさに神話となっています。『バレンタインデーだけでチョコレート1年分の売り上げをあげる』、その習慣をつくったのは確かに神業かもしれません。

もともと、バレンタインとは3世紀、ローマにセント・バレンタインという神父様がいました。
欧米社会ではつい最近まで(一部のきびしい教会では今でも)教会の許しがないと結婚ができなかったのです。

日本と違って、教会で式を挙げるということは、式の瞬間(結婚証明書に署名した瞬間)が入籍になるのです。英国のチェールズ皇太子とカミラ婦人が再婚するにあたって、英国国教会がそれを許さず、女王陛下がお願いして、やっと、入籍式は許可しないが、祝福はする、ということになったわけです。

だからこそ、庶民に交じって、30分おきに式を行うレジストレーションオフィス(役所のサービス)で入籍をし、その後教会で祝福してもらうという、王族にしては異例の結婚式を挙げたわけです。

話は戻りますが、このバレンタイン神父、そのような状態がかわいそうだと思い、そのような人たちにこっそりと式を挙げてあげました。このようなことからバレンタイン神父様は愛の象徴となったわけです。

2月14日が選ばれたのは、小鳥たちがこの日にパートナーを選ぶ日と言い伝えられたことがはじまりです。

このようなことから2月14日は愛を確かめ合う日となったのです。

英国をはじめ、欧米ではバレンタインは愛を確かめ合う日であって、特に日本のチョコレートをプレゼントするような女の子からの告白をする日ではありません。

想いを寄せている人に、こっそりと名前のないカードをおくることはありますが(あなたを密かに想っています、という文なので取り方によっては不気味かもしれません)、基本的には夫婦や、すでにお付き合いしている二人がロマンティックに過ごす日です。

1年で一番プロポーズが多い日でもあります。
前日の金曜日は、英国ではめずらしく、多くのカードショップやフラワーショップが遅くまで開店して、会社帰りの、特に男性の長い列ができます。ちなみに、赤いバラは男性が女性に贈るものです。

この行列をして買ったカード、赤いバラの花束、プレゼントは奥様や彼女に見つからないようにこっそりとガレージなどに隠しておきます。車の中というのも多いようですね。

朝は、奥様や彼女が起きる前にその贈物をそそくさと取りだして、(寒い氷点下の中を、止めてある車までバスローブ姿で贈り物をとるに出る男性の姿がみられます)アーリーモーニングティーと呼ばれる目覚めのティーをベットまで持っていきます。

欧米の男性は本当にロマンティックな演出が好きで、あるフランス人のご主人さまはこのアーリーモーニングティーを持ってくるときに、口に赤いバラの花をくわえていたそうです。まるで映画のようで、ちょっと日本人には引いてしまう演出かもしれませんが。(笑)

このプレゼントですが、日本のようにチョコレートを渡さなくてはいけないということはありません。
特に今年のバレンタインデーは土曜日ですから、朝からゆっくりと夫婦ですごし、子供たちはそんな親をほほえましく思い、勝手に朝食をとりながらテレビをみる、という光景が多くみられます。

夜は豪華なディナーを予約してあるか、手作りのディナーを楽しみます。この手作りのディナーは男性でも女性でもいいのですが、この日のために男性が料理教室に通うこともあります。

英国、ヨーロッパではハーフタームといわれる学校の学期中休みにもあたりますので、スキー旅行のため、スイス等でバレンタインデーを迎える英国人も多いです。例の、VIBも多く集まりますので、まだ6歳だというのにロマンティックなディナーを同じく6歳のガールフレンドと楽しむ姿も見られます。支払はもちろんお父様ですが。

お相手がいない方は、いろいろな場所で開催されているバレンタインパーティーに参加する場合も多いようです。ようするにみんなシングルの者が集まる出会いの場です。

そんな気持ちも起こらない人は、同性の友人と最もロマンティクではないことをするそうです。

それはなんだと思いますか?ホラー映画をみることなんですって。確かにバレンタインの時期には必ずホラー映画が放映されています。

とにかく天気がわるい英国。久しぶりに、人々の楽しそうな顔をみることができる、1年でもっともロマンティックな週末です。

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