英国の慣習、パンケーキデー Shrove Tuesday



















2月24日は「パンケーキデー」でした。

パンケーキデーとはShrove Tuesday のこと。これはキリスト教において大切なイースターに関わる行事です。

キリスト様の誕生を祝うクリスマスは日本でも浸透しているようですが、キリスト様の復活を祝うイースターは知らない方が多いようです。英国の国教はキリスト教・プロテンスタント(church of England)ですが、国民の多くは、宗教的な意味よりも春の訪れを告げるものとして受け止めている場合が多いようです。

ホテルには春をテーマにしたトップデコレーターによるデコレーションが、レストランには有名テーブルコーディネーターによるテーブルコーディネートが施され、人々の顔も明るく浮き立ってきます。

基本的には、クリスマスはお祝いですが、イースターは祝い事はいけません。慣習を気にする方は、イースターの40日前からは、ウェディングなど祝い事をしません。イースターの日は毎年変わりますが、日曜日で、今年は4月12日です。

(詳しい慣習やテーブルセッティングなどはインターネットマガジン『薔薇の会』で写真入りで詳しく説明しています。『薔薇の会』詳細は右記のリンクからお願いします。)

宗教的には、キリスト様の復活までの受難を一緒に耐えるということで、イースターまでの40日間は断食をしていました。今でも「40days40nights」の映画にみられるようにこの40日間は何かをあきらめる、という形をとる方が多いようです。

たとえば、たばこを40日間あきらめる、チョコレートをあきらめる、といった具合です。伝統的な慣習にもどりますが、40日前の水曜日から断食をはじめましたのでその前日の火曜日には家にある、いわゆる残り物を集めてパンケーキ(日本ではクレープといったほうが近いでしょうか)をたくさん焼き、家族でたっぷり食べ、翌日からの断食にそなえました。

地方では「パンケーキレース」が行われます。これは何かというと、エプロン姿にパンケーキをのせたフライパンをもった主婦達が教会までレースをするというもの。これは、中世、家でパンケーキを焼いていて、教会のミサの時間をわすれてしまった主婦がミサの始まりを告げる教会の鐘を聞いてあわててエプロン姿のまま、プライパンを手にもって教会まで走ったことが始まりといわれています。

ちなみに、今でも召使をのぞいて、エプロン姿で人前にでるというのはとてもはしたないこと。中世ならなおさらです。その姿をみてびっくりした人々がそれをレースにしたというのはその主婦への思いやりと英国人特有のユーモアでしょうか。

スーパーマーケットにはパンケーキ作り用の食材が特設された場所に山積みにされます。 小麦粉、シロップ、レモンジュース、卵などです。




(写真:小麦粉、かわいらしいケースにはいったレモンジュース、シロップ)子どもたちは学校から帰ると、お母様、子守のナニー、お父様(割合的には多いです)などと一緒にパンケーキをつくりいただきます。もちろんその意味を学びながら、です。
寒くて暗かった冬がやっとあける・・・パンケーキデーは、花が咲き乱れる春がそこまできていることを知らせてくれるのです。

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