母の日 Mothering Sunday (Mothers Day)

英国では、今年は3月22日が母の日でした。

日本の母の日はアメリカの影響を受けているようですが、
英国ではキリスト教(プロテスタント 英国国教会)が国の宗教ですので、キリスト教として母の日を祝い、母の日は毎年違います。

どういうことかというと、母の日はイースターlent(断食)の中間の日曜日と決まっているため、毎年変わります。(パンケーキデーをご参照ください)

母の日は16世紀から祝っていますが、確実な理由はわからないようです。

ただ、いくつかあげられている理由はあります。

まず、lentの中間にあたるこの日曜日に、近所でも一番大きな教会(mother church といいます)に皆がミサにいったため。

二つ目は、英国では近年まで、召使の子として生まれた子は一生召使として子供のころから学校へも行くことができずに御屋敷に住み込みで働きました。ビクトリアン時代に、まだ5歳ぐらいの子どもたちが煙突の中に入って掃除をしていたというのは有名な話ですよね。

言葉がはなせるようになったらすぐに下働きからはじめたわけですが、お休みはなんと1年に1回のみ。このlentの中間の日曜日だったのです。

召使の子どもたちは、お屋敷の料理人が作ってくれたケーキと、敷地内から花を摘むことをゆるされ、1日だけ文字通りお母さんに甘えに帰りました。お屋敷から自宅がある村まで遠くても何時間もかけて歩いたそうです。

私たちが通っている教会で、このお話をはじめて牧師様がしてくださったときに、つい、まだ小さな娘の手を握って泣いてしまったことを覚えています。

クリスマスも年末年始も働かなくてはいけなかったのです。このことから、神様がお母さんに会うことを
許してくれる日として定着していったようです。今でも母の日に教会のミサにいくと、牧師様が子供たちに、「外に出て、お母さんのために花を摘んでらっしゃい」と呼びかけ、子供たちは一斉に外に出て、花を摘んでもどってきます。

もちろん最近は、クリスマス・結婚式・洗礼式・お葬式以外は教会にいかないという英国人も多いですから、その場合にはお花屋さんでお花を買ってお母さんにプレゼントします。

日本では母の日にカーネーションをプレゼントしますが、英国をはじめ欧米諸国、キリスト教の国ではカーネーションは基本的にお葬式のお花。絶対にカーネーションだけをプレゼントしてはいけません。
黄色い水仙、ピンクのバラなど春らしい華やかなお花をプレゼントします。

では、現在の英国でこのお花をプレゼントする以外に何をするかというと、まず朝は、子供がお母さんのベッドまでアーリーモーニングティー(目覚めのティー)を持っていきます。このときに、手作りのカードとお花(後で教会に行かない場合のみ)、小さなプレゼントも渡します。

お母さんがその目覚めのティーを飲んでいる間に、朝食をつくり、またベットまで持って行きます。フレッシュオレンジジュース(オレンジから絞ったもの)、トースト、スクランブルドエッグ、ベーコンという典型的な「イングリッシュブレックファースト」です。もちろんお父さんが手伝いますが、ある程度の年齢になると、危なっかしい手でその朝食がのった大きなトレーを運び、その姿に思わずお母さんが涙する、という光景が多くの家庭でみらます。

テレビの広告でも、まだ5歳ぐらいの男の子が、お父さんの助けを拒んで自分で全部の朝食をつくり、卵やオレンジで体中汚れた姿で、お母さんに朝食を運び(当然ジュースはかなりトレーにこぼれてます)そのオレンジまみれのキュートな笑顔がクローズアップされ、お母さんが涙・・というのがありました。

その子供を持つお母さんにもお母さんがいる方もいますから、午後は家族で会いに行き、一緒にお食事をします。ですから、この日は多くのレストランが満員。人気の有るレストランでは、6か月前には
すでに予約でいっぱいになるところも少なくありません。

また、伝統的には、この母の日にはSIMNEL CAKE を焼きます。SIMNEL CAKE というのは、イースターのときにいただく春らしいかわいらしいフルーツケーキです。

ホール上のケーキの上には、かわいらしいシュガークラフトのほかにマジパンで作られた11個の卵がデコレーションされています。これは、「最後の晩餐」という有名な話・または絵をご覧になったかたはご存じだと思いますが、キリスト様と11人の弟子たちです。

もちろん最後の晩餐はキリスト様と12人の弟子、合計13人(このため欧米では絶対に13人で食事をしません)だったわけですが、一人は裏切り者だったため、11人の弟子にみたてて、11個の卵が飾られるのです。

キリスト教の国なら多くの国でこのSIMNEL CAKE をみることができます。

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