ロイヤルアスコット

ザ・シーズン(英国社交界)がはじまったことはすでに書かせていただきました。
そのメイン行事であるロイヤルアスコットが先週開かれました。

ロイヤルアスコットは毎年6月の第3週(火曜日ー土曜日)と決まっています。
開幕日の火曜日と木曜日のレディースデーがメインですが、他の曜日もそれなりに特徴があります。

ロイヤルファミリー、貴族は競馬好き。女王陛下は毎日いらっしゃり、ロイヤルボックスの中を(時にはかけまわって)真剣に馬を目で追いかける姿がみられます。13日の土曜日には、女王陛下の公式誕生日を祝うTrooping the colour ( color はアメリカ英語です。正しくはcolour)があったばかり。

colourとは国旗のこと。旧大英帝国、今の英国連邦のすべての国の軍が国旗を掲げて行進する姿はまさに圧倒的の一言です。この国が「帝国のどこかに必ず日が昇っている、日が沈むことのない大英帝国」という、現在でもこれだけの国に影響を与えていることはいろいろと考えさせられます。

シーズン中は、毎日、女王陛下をはじめ、多くの英国人は大忙しです。

日本人の生徒様からよく、英国人はいつ働くのですか?という質問を受けます。
そのようなザ・シーズンに参加する方々は幸せなことに働く必要はありません。(広大な土地からの収入、株、投資などが収入源)

特にザ・シーズン中は、チェルシーフラワーショー、ロイヤルアスコットへは毎日参加、22日月曜日から始まるウィンブルドン、7月はじめのヘンリーレガッタ、その合間にあるチャリティーパーティーなど予定がぎっしりでどちらにしても、仕事をする時間はありません。

これらの社交行事はもともと働かなくてもよい階級のためにあったわけです。今でも伝統的な英国企業はロイヤルアスコット開催中はお休み、というところもあります。

ロイヤルアスコット開催中は毎日午後2時に女王陛下、ロイヤルファミリーの方々が馬車にのって入場(パレード)なさいます。彼らは、ウィンザー城で昼食をとられてからいらっしゃるわけです。

特に初日の火曜日は、女王陛下がパレードをして、ロイヤルボックスの入口に到着すると、英国国歌が演奏されます。このときには、男性はトップハットをとり、胸のところで持っていてください。

女性は帽子は脱ぎません。

今年は、女王は黄色のジャケットにレモンイエローのアフタヌーンドレスで登場されました。
チェールズ皇太子の奥様、ダッチェスオブコーンウォール(コーンウォール公爵夫人)はヴィヴィアンウェストウッドデザインのシャンパン色のドレスでした。

アスコットには毎年流行の色があります。今年の流行は、サファリカラーと呼ばれるベージュとショッキングピンクです。

英国を代表するデザイナのアマンダ・ウィークリーさんもいらしていましたが、サファリカラーの帽子とドレスでした。

長く上流階級の人間だけが参加していたロイヤルアスコットですが、時代の流れとともに、一般庶民にも解放されるようになり、簡単にチケットを買って入場できるようになりました。ちょっと残念なのは、素敵なドレスを着て、帽子をかぶっているのに正体をなくすほど酔っぱらう方々が多くなってきて、新聞には必ずその「醜態」が報道されます。

昨年はわざわざ「女性は必ず下着をつけてください」などという恐ろしい注意書きができたほど。期待していったのに、酔っ払った人にお酒をせっかくのドレスにかけられ、もう二度と参加しない、という意見を持つ方も多いようです。

ロイヤルアスコットを余裕を持って楽しむためには、ロイヤルエンクロージャーをはじめ、ボックス、スポンサー席がよいと思います。

ロイヤルエンクロージャーのメンバーは今100年待ちといわれていますが、毎年女王陛下のご招待ということで、各大使館に50枚前後の招待状が送られます。

また、デザイナー、芸能人など各分野で活躍している方々も招待されますので、「メンバーでないと絶対にはいれない」わけではありません。もちろん馬主には馬主席があります。共同で馬主になることもできるので、どうしてもという方はこのような手もありますね。

ボックス館内のレストラン、スポンサー席でモーニングコーヒー、ランチ、アフタヌーンティー、シャンパンをという企画がよくアメリカンエクスプレスカードのブラックカード所持者などには案内がありますが、そのお値段も一人1000ポンド(日本円で20万円弱)前後です。ちなみにウィンブルドンでも同じようにお食事を楽しみながら優雅に観戦する企画がありますが、1日一人3000ポンド(約60万円弱)という日もあります。

どちらかと言うと芸能人が多くなり、トラディショナルのエレガンスからは少しずつ変化してきたといわれる英国社交界。

それでも、モーニングにトップハット姿の男性達、エレガントなアフタヌーンドレスに華やかな帽子を被った女性達に囲まれてのロイヤルアスコットは、映画のような、華やかな英国社交界の雰囲気を実感できます。

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