スイスで過ごすニューイヤーズイブ

今年の冬は大雪に見舞われているヨーロッパ。心配していた雪による空港閉鎖もなく、無事にスイスにつきました。これから年末年始をはさみ、しばらくスイスに滞在します。

ヨーロッパでは、スイスだけではなくフランス、イタリア、オーストリアでもスキーは楽しめますがやはりスイスが一番おすすめです。

冬の社交の中心といわれるだけあって、世界中からスキーヤーが集まってきます。スキーをしない奥様方も楽しめるようブティックやスパも充実していますし、もし万が一事故にあっても、スイスが世界に誇る高水準の医療設備も充実していますので安心です。

年末年始は最低2週間以上の宿泊を基本にしているホテルが多く、宿泊客は毎年同じホテルに宿泊することがほとんどなので、自然と宿泊者同士でなかよくなっていきます。

そういえば、アガサクリスティーの小説の中でも、「スイスのサンモリッツに2週間滞在中ホテルのラウンジでみかけた彼女に一目で恋してしまった・・」なんていう文もありましたね。

2月はサンモリッツに行きますが、ここ数年12月・1月はスイスのグルデンワルドで過ごしています。理由は子供のための年末年始のパーティーが充実しているからです。イギリスでは、「子供がハッピーでなければ親もホリデーを楽しむことはできない」という言葉があります。

もしご夫婦で年末年始を過ごすのでしたら、サンモリッツのバドラッツパレスホテルをおすすめします。ただし2週間で最低500万円はかかります。2週間で1千万円以上つかう宿泊客がほとんどです。毎日パリコレクションのようで、絶対に同じ服を2回着てはいけませんし、ニューイヤーズイブのパーティーには女性はティアラ(本物の宝石のものに限ります)を着用します。

ということで、なかなかすごいところなのですが、数年前友人家族からのすすめで、今滞在しているグルデンワルドの「グランドリジーナホテル」に切り替えてからは、子供のための行事が充実していて、娘が毎日ハッピーなことから毎年この時期はこのホテルと決めています。

グルデンワルドはサンモリッツとは違い5星ホテルはここしかありません。今の時期の宿泊客の70%は英国人で、なんと20年以上年末年始はこのホテルで過ごしているというご家族も!!また、子供のころから親に連れられてきていて、今は自分の子供ときているという2世代にわたりやってくるご家族もいらっしゃいます。

ホテルはよくいえば伝統的、モダンスタイルが好きな方にはおすすめしません。


ご家族にはアパートメントタイプの2ベットルームスイートがお勧めです。1泊約40万円ですが、美しい眺めなど、納得の金額です。


どの宿泊客も、毎年同じ部屋に宿泊します。部屋番号を予約しなくても、きちんとホテル側でそのようにアレンジするのです。

よく、「スキーをしにいくのだからに広い部屋やいいホテルは必要ない」「そんなに長い期間同じ場所にいて何をするのですか?」という質問をされますが、英国人やヨーロッパ人はスキー場にスキーだけをしにいくのではないのです。

朝は8時頃朝食、9時からスキー、午後12時にランチ(ランチは食べない英国人も多いです)、4時にはホテルに戻りアフタヌーンティー、プール・サウナなどのスパを楽しみ、マッサージなどをしてもらい、女性はホテル内の美容院で髪をセットしてもらい、ディナー用の洋服に着替えます。

午後8時頃ホテル内のバーでシャンパンなどの食前酒を楽しみ、ディナーは午後9時ごろから。ディナーをいただく席も毎日同じ席です。アミューズブッフェ・前菜・スープ・サラダ・メイン・デザート・フルーツ・チーズというスイス式フルコースをたっぷり時間をかけて楽しみ、食後のコーヒーや食後酒はラウンジ・バーでいただきます。ラウンジ・バーではダンスが踊れるようになっていますので、ここではダンスを楽しみます。部屋に戻るのは夜中の1時頃でしょうか。お酒も、食前酒・白ワイン・赤ワイン・食後酒とものすごい量です。それにもかかわらず翌日朝8時にはみなさん元気で、はやり欧米人はアルコールに強いということを思い知らされます。これを毎日滞在中繰り返すのです。

宿泊者同士親しくなりますので、お互いの部屋に招いて食前酒または食後酒をいただくこともあります。だから部屋にはベットルームとは別のリビングルームやバーが必要になるわけです。

ホリデー先で知り合った方から新しいビジネスがはじまることもあり、つまり英国人はホリデー先でも「社交」をするわけです。

なにしろ英国トップの大学、オックスフォード大学で大切なことは「何を学ぶかではなく、誰と知り合うか」なのですから。

これはホリデー先でも同じなのです。別荘をお持ちの方も多いですが、家族だけが宿泊できるような小さな別荘ではなく、何家族も宿泊できるホテルのような別荘です。

ロンドンのシティーで働かれているある日本人の方が、新聞に「日本人は本当の社交を知らない」と書かれていらっしゃいましたが、本当にその通りです。英国人は、子供のころからホリデー先でも親を通して社交というものを自然に学んでいるわけです。

社交の話はまた別の機会でするとして、つまりヨーロッパのスキー場はスキーのためだけではないということです。美しい山々に囲まれ、毎日ゆっくりと時間が過ぎていきます。

そうしていよいよニューイヤーズイブです!!ニューイヤーズイブはとにかく華やかにパーティーです。ディナーは特別なガラディナーとなります。支配人だけではなくオーナー夫妻もラウンジでお客様をお迎えします。英国人男性客は全員ブラックタイ(アメリカ英語ではタキシード)、女性はロングドレスです。このホテルではティアラを着用する必要はありませんが、宝石はつけましょう。宝石は、センターストーンのついたネックレスとイヤリング、ブレスレットが基本です。時計はしませんが、宝石タイプのものなら着用可です。


写真の手前の男性はロシアの方です。最近ロシアからの宿泊者も多くなってきましたがあまりブラックタイは着用なさらないようです。普通のタイを着用していた方がほとんどでした。失礼ながら理由を聞いてみましたら、「ブラックタイをしている英国人といっしょに僕たちもブラックタイをしたらまさに007のスパイになっちゃうじゃないか。実業家に見えるように、身を守るためだよ。」となかなかウィットに富むジョークをで答えてくれました・・。そういえばホテルの部屋もジェームスボンドが宿泊する部屋っぽいですものね・・。

ラウンジで食前酒とカナッペを楽しんだら、ダイニングルームに移動します。テーブルにはニューイヤーズイブのためのゲームがおいてあります。クラッカーと丸めた紙を飛ばす筒です。


写真の男性のように、ブラックタイでこんな子供っぽいことをするのです。筒を口に含み、丸い紙をこの筒の中にいれ、吹き飛ばします。あたるとなかなかいたいですし、グラスがわれることもあります。英国人、スイス人、ドイツ人、フランス人、ロシア人が「ドイツ爆弾だあー」「ヨーロッパ連邦崩壊だあ」とか冗談(なんでしょうか?)をいいながらお互いのテーブルにこのくだらない紙のかたまりを飛ばす姿にはかなり笑えます。

子供達は別部屋で子供たちだけの食事とパーティーを深夜まで楽しみますが、同じ紙のかたまりをウェイターにぶつけるのだそうです。この日は特別手当が彼らに払われることを祈ります。

午後11時を過ぎたころにスイス伝統の大きな鐘をもった男性たちが、鐘を鳴らしながら街を練り歩きます。


数年前から、写真のようにホテルの中にもはいってきてくれるようになりました。いくつかのホテルをまわったあとは、ストリートパーティーをするのだそうです。

日本でも、「ゆく年くる年」ということでお寺などで鐘を鳴らしますよね。スイスでもおなじような伝統があるのには毎年興味ぶかい思いでみています。来年2010もよい年になりますように・・皆で楽しくにぎやかに迎えます。

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