クリスマスです!

英国のクリスマスは過ぎてしまいましたが、本日1月7日はロシア正教のクリスマスになります。


遅ればせながら今回の英国のクリスマスについてお話します。


今年のロンドンは雪が多く、クリスマスも数日前にふった雪がまだ少し残る「ホイトクリスマス」に近い雰囲気となりました。ただ、クリスマス・ニューイヤーを外国で過ごす予定の人たちにとってはフライトがキャンセルされたりして、せっかくのホリデーが台無し・・ということも残念ながら多かったようですが・・。

我が家は毎年、クリスマスイブは友人たちと、クリスマスはロンドンで親族と過ごし、その後すぐスイスに行きます。今年もその予定なので雪で空港が閉鎖されないかちょっと心配でした・・。

クリスマスイブの夜中にはサンタクロースがやってきます。

日本と違いほとんどの家に煙突があるので、子供たちは皆、煙突からサンタクロースがプレゼントをもってやってくると信じています。そのため、クリスマスイブの夜ベットにはいる前に子供たちは暖炉の前に、ミンツパイ(英国でクリスマスシーズンに必ずいただくドライフルーツ入りのお菓子)・シェリー酒(英国の伝統的なお酒です。ちょっとシェリーをのみにいらっしゃいませんかとお誘いしたりします)をサンタクロースのために、人参をトナカイのためにおいておきます。


もちろんクリスマスの朝にはこれらはなくなっているわけですが、より「現実味」をだすためにミンツパイのかけらと人参もトナカイがかじったような痕とともに少し残し、暖炉のまわりには泥がついた靴のあとをたくさん残しておくのが英国人から教わったコツです。

ちなみに、日本ではサンタクロースはプレゼントを「枕もとに」残していくと思うのですが、英国では足元のほうのベットの足に大きなソックスを下げておき、この中にプレゼントが入っています。

クリスマスの朝はたぶん、ほとんどのお宅で、子供が一番最初に起きるのではないでしょうか??まずサンタクロースさんからのプレゼントを開け、そのプレゼントを見せるために両親を事実上たたき起し、皆パジャマのままクリスマスツリーの下においてあるプレゼントをあけます。

よく日本では、プレゼントをあけるときにはゆっくりと、包装紙を破かないように上品に開けていきますが、欧米社会ではこれはプレゼントをもらってとまどう、ということになり、「うれしさ」はあらわしません。
「ああ、もう中をみるのが待ちきれない!!」という気持ちを表現し、ビリビリっとプレゼントはあけましょう!!プレゼントには必ず誰から誰へという小さなカードがついていますのでそれを読み上げ、「早く開けてみて!何かしら??」と皆で大騒ぎをしながらプレゼントを開けていくのです。

ちなみに今年女王陛下が贈ったクリスマスプレゼントは約800個です!

プレゼントを開け終わったら朝食です。

伝統的には、トーストの上にスクランブルドエッグとその上にスモークサーモンをのせたものを、シャンパンとともにいただきます。

私たちはクリスマスイブの夜だけ教会に行きますが、ご近所の方々はクリスマスの日も教会に行く方が多いようです。朝の9時から1時間ほどです。

この後、クリスマスドリンクを開かれる方も多く、私たちも教会はパスしてしまいましたがご近所のクリスマスドリンクにはおじゃまし、「Happy Christmas!」とご挨拶をしました。

クリスマスの日のクリスマスドリンクはお昼にはおいとまするのがマナーです。

この後は、それぞれ家族だけの「クリスマスディナー」となります。

いただく時間は昼ですからクリスマスランチともいうのですが、この日いただくメインのお食事となるので、「クリスマスディナー」というのが伝統的です。

多くのお宅ではご夫婦で協力して・またはお姑さんと一緒にクリスマスディナーの支度をしますが、ホテルやマナーハウスでクリスマスディナーをいただくファミリーも増えています。

私たちも親族とともにホテルでクリスマスディナーをいただきました。ボールルーム(舞踏室)、レストランを使って盛大に行われるこのホテルのクリスマスディナーには毎年同じメンバーが参加します。
総勢200名といったところでしょうか。大きなテーブルは30名で一族勢ぞろい、なんていうテーブルもあります。多くは「いつも料理や食事の支度をしない」人たちです。

前にも書きましたが、昔と違い今は召使いにもクリスマスはお休みをあげなくてはいけなくなってしまったためです。私がこのホテルでのクリスマスディナーを気にいっている理由のひとつが、この、いい意味でも悪い意味でも「大英帝国時代」の慣習を実際に聞くことができることです。

毎年お会いする老婦人は、
「昔はね、11月になるともう召使いたちがクリスマスの準備をはじめたので、両親の目を盗んで、台所にこっそりと行くのが楽しみでしたよ。クリスマスには一族が屋敷に集まり、それぞれの家族が召使いを連れてくるので我が家はもうたくさんの人でごった返していてね、我が家のシェフと伯父の家のシェフとがけんかしてしまうこともあったりしたけれど、でもそれが大好きでした。クリスマスの翌日には召使いひとりひとりを呼んで、父が「今年も1年ほんとうによく働いてくれた、ありがとう」といってクリスマスプレゼントを渡し、お休みをあげたものです。召使いが退職するときには家を与え退職金を渡し、病気になれば当然私たちが病院の手配や支払いをし、家族の面倒をみました。ずっとそういう社会が続くものと思っていたのだけれどねえ・・。」というお話をしてくださいます。

午後3時には女王陛下のスピーチがはじまります。

このホテルもテレビをホールにいれてスピーチを放送します。

皆直立し、手にはシャンパングラスを持ってスピーチを聞きます。

通常15分はあるスピーチが、今年は10分ほどでした。

それもほとんどアフガニンスタンの戦場のことで、やはり女王陛下の御心には若い兵士が毎週戦死していくということがおつらいのでしょう。

スピーチがおわるとともに、「God Save the Queen ! (女王陛下万歳)」という声がおこります。
先ほどお話した老婦人もその細い体のどこからそんな声がでるのかと思うほど大きな、威厳ある声で、「God Save the Queen 」と叫ばれていました。

ディナーの席では政治の話はしてはいけませんが、この老婦人が信じている「大英帝国」の今はほとんどなくなりかかっている社会体制と、国の年金制度が事実上破たんし、一般庶民が将来を不安に思う今の体制といったいなにが一番よい社会というのか、つい考えてしまう瞬間でした。

ちなみに、クリスマスディナーのメニューは:
  • スモークサーモンのサラダキャビア添え
  • コンソメスープ
  • ターキーと温野菜(チェツナッツ・キャベッジ・キャロッツ・ポテトなど)
  • クリスマスプディング・ブランデーソース
ものすごい量なので、夕方になってもまだおなかがいっぱいです。

ぜひ来年は英国のホテルで!という方は、ロンドンならドーチェスターホテル、カントリーマナーハウスならクリブデンが絶対におすすめです。

伝統的にクリスマスの日はレストランもクローズ、というホテルもありますからご注意ください。

夜ちょっとおなかがすいてきたころに「クリスマスティー」をいただきます。
これはいうなれば、昼間の残り物を、クリスマスケーキとともにいただくのです。
クリスマスケーキは日本のイチゴケーキとは全く違い、ドライフルーツがたっぷり入ったケーキです。ご自宅での手作りの場合もありますし、デパートなどで購入することもできます。

スモークサーモンのカナッペ、ハム、キャビア、スティルトンチーズを暖炉の前でゆっくりといただきながらクリスマスプレゼントをまた見てみたり、今年も皆でクリスマスをむかえることができる幸せをあらためてゆっくりと感じる瞬間です。

ボクシングデーの26日からは「大移動」が始まります。

クリスマスと違いニューイヤーは一種のお祭り。多くの英国人はカントリーサイドにいる友人宅で過ごしたり外国で過ごします。

「外国で過ごす派」は二つにはっきりとわかれます。スキー派とビーチ派。

スキー派はやはりスイスが多く、ちょっとエコノミーだとオーストリアやイタリア・フランス。
ビーチ派はモーリシャスかカリブ海で、エコノミーだとスペイン(テナリーフも含む)やトルコなどです。

ファミリーがいなくなり、ひっそりと静まり返るロンドンもセールになり、また若者たちで賑わうことになります。

英国は波乱続きだった2009年。2010年は良い年になるよう、多くの英国人が祈っています。

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