英国の階級制度

スクールの生徒様から
英国の階級制度のそれぞれの階級の割合はどのようになっているのですか」
というご質問を多くいただきます。
階級制度はピラミッド型になっており、労働者階級が一番多く半分以上、次に中流階級、アッパーミドルクラスとアッパークラスは全人口の10%未満です。

フランスですと、フランス革命時は98%が農民(労働者階級)でしたが、現在でも90%以上は農民といわれています。

英国に話を戻しますが、現在私立学校に通っている子供の割合は8%。ほとんどがアッパーミドルクラスとアッパークラスの子供たちです学費は小学校で年間1万ポンドから2万ポンド(約150万円から300万円)と、中流階級の平均収入とあまりかわらないことを考えればいかに私立学校の学費が高額かということがわかります。

日本の中学ー高校にあたるセカンダリースクールになりますと、寄宿制学校などでは年間日本円に換算すると1千万円を超えるところも少なくありません。こういったこともあり、公立学校出身か、私立学校出身か、ということは差別の対象にもなりますし、私立学校で教育を受けていないと受け入れてくれない私立大学もたくさんあります。

公立学校は「ステートスクール」私立学校は「プライベートスクール」または「パブリックスクール」と呼ばれています。どうしてパブリックスクール(パブリックというのは公共の、という意味があります)というかというと、昔上流階級では、子供の教育は家庭教師が屋敷の中で行っていたからです。

つまり、良家の子弟が通い始めた学校は「自宅ではなくほかの子供たちがいる」ということからパブリックスクールと呼ばれるようになったのです以前に書きましたように、英国では、公立学校よりも私立学校のほうがお休みが多く、1年の半分近くはお休みがあります。その長い休み中にはほとんど外国にでかけるわけですが、子供のために家庭教師を連れてホリデーにいかれる家族もいます。

そのほかに子守(ナニー)を連れていくこともあり、子供が3人ともなると大変な人数で移動することになり、「プライベートジェット」の会社がたくさんあることにもうなずけます。

特に私立学校出身の男性のことを「パブリックスクールボーイ」と呼び、イギリスが世界に誇る英国紳士・ジェントルマン達です。日本語にも「おぼっちゃま育ち」という言い方がありますよね。

パブリックスクールボーイとは逆に、公立学校出身者を「コモナー」と言われることがあります。コモナーとい言う言い方は見下した言い方になりますので、決して本人に直接言わないように。

コモナーというのは、もともと王族ではない一般国民を差した言葉だったのですが、最近少し違い意味で使用されています。
私立学校出身者はエリート意識も大変つよく、このエリート意識をよく理解していないことから日本人もよく失敗することが多いようです。
たとえばサッカーは労働者階級が好むスポーツとされています。
スクールの生徒様でも、あるパーティーにでかけ、「サッカーチームはどちらが好きなのですか?」と聞いたところ「なんて失礼な。私は伝統あるクリケットクラブのメンバーですよ」と怒って席をたたれてしまったそうです。

このタイプの失敗で何億もの取引がだめになったしまったケースもあります。英国人の友人たちも「イギリス人すべてがフーリガンだと思ってもらってはこまる」とよく洩らしています。
私たちが英国人を階級によって差別してはいけないと思いますが、英国人は自分の所属する階級があるということを意識していること多い(上の階級ほど)ということを忘れないようにしましょう。

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