英国・ヨーロッパの冬の社交場、サンモリッツ

今年も冬の社交場スイスのサンモリッツに英国人が集まる時期となりました。
私も現在サンモリッツに滞在中です。英国人、いえ、ヨーロッパの冬の社交場サンモリッツはよく「London with snow」とよばれるほどです。


去年もサンモリッツのことにはふれていますが、冬にサンモリッツに英国やヨーロッパのアッパークラスが集まることはもちろん今年も変わりありません。繰り返しになってしまいますが、サンモリッツで「冬の社交場」を体験したいのなら、バドラッツパレスホテル、クルムホテル、カールトンホテルの
いずれか、いわゆる「5星プラス」のホテルに1週間以上宿泊してください。


もともとサンモリッツはビクトリアン時代に英国人が開発した冬のリゾート地です。その当時はクルムホテルのみしかなく、クルムホテルが英国上流階級の集まる場所だったのです。今でもクルムホテルには当時のたくさんの古い写真が飾ってあります。それらはほとんどが英国人。働かなくてもよい階級、上流階級の英国人は冬の間ずっとサンモリッツに滞在していたのです。それらの写真からは、当時の「大英帝国」を謳歌していた英国上流階級の優雅な生活を見ることができます。ぜひご覧になってみてください。

サンモリッツへは、ロンドンからチューリッヒへコマートシャルフライトで移動し、その後電車かホテルが手配した車でホテルまで、という方法もありますが、多くの英国人はプライベートジェットを利用します。
日本でもプライベートジェットの会社ができたということですが、まだまだ会社での使用が多いようで、
個人の休暇に使われることは少ないようですね。
イギリスではプライベートジェットで家族旅行にでかけることはそれほどめずらしいことではありません。
なぜなら、プライベートジェットの会社がたくさんあって、個人でプライベートジェットを所有する必要がないからです。ハリウッドスターやビリオンエラー・ミリオンエラー(億万長者)の中には、個人でプライベートジェットを所有し、パイロットも個人で雇っている、という方も多いようですが、アッパーミドルクラスの場合プライベートジェットの会社を使って、時間貸しをしてもらいます。

通常、10時間・20時間というように初めに時間契約をします。よく、「プライベートジェットなら好きな時に好きなところへ思い立ったときにいけるのでしょう?」という質問をスクールの生徒様からうけますが、一部の方々を除いて、そう簡単にもいきません。


あらかじめ、プライベートジェットが着陸できる場所を確保しておかなくてはいけませんので、
希望の日に飛行できないときもあります。また、すべての空港にプライベートジェット用の場所があるわけではありません。ロンドンの場合、北のルートンという空港にプライベートジェット用の場所がありますので、私の家からはロンドンヒースロー空港のほうが近いのですが、ルートンまで1時間半もかけていかなくてはいけません。


プライベートジェットのよいところは、Tme is money ではありませんが、とにかくまたなくてよいということ。プライベートジェット専用ラウンジでシャンパンを飲みながらくつろぎ、パイロットがあいさつにきます。最近簡単にパスポートをチェックするようになりましたが、いわゆる「パスポートコントロール」ではありません。荷物の重量制限もなし。(といっても飛行機がとびたてなくなるほどの荷物はダメですが。)
セキュリティーチェックももちろんありません。出発時間の2時間前に空港へ行く必要もないし、出発時間に多少遅れても大丈夫です。普通は出発時間30分前ー5分前に到着するようにします。飛行機の
中は、広いソファーになっていて、ゆっくりとくつろげます。食事も高級レストランにいるようです。


サンモリッツにはプライベートジェット用の小さな空港しかありません。到着すると、パスポートをチェックされることもなく、飛行機のタラップ(階段)をおりたところにホテルからの迎えの車が待っていてくれます。もちろん荷物を自分たちで運ぶ必要もありません。現在クルムホテルに滞在していますが、空港からホテルまで10分ほどです。プライベートジェットを利用した場合のティップですが、もしご自分でプライベートジェットを所有し、パイロットやスチュワーデス(客室乗務員・キャビンアテンダントという英語は
普通のコマーシャルフライトの場合です。プライベートジェットではスチュワーデス・スチュワートという英語を使用することが多いです)を雇っているのなら、ティップは必要ありません。よく働いてくれたと思うのならお給料を多くするか、ボーナスをあげればよいのです。


そうではなく、時間貸しのプライベートジェットを利用した場合、スチュワーデスやスチュワートにティップを渡します。

50ポンドが相場です。できれば50ポンド紙幣を渡しましょう。50ポンドを渡すのに、コインを使用することはないとは思いますが、ティップの基本・紙幣で渡すこと、をわすれずに。ティップはもちろん男性が渡します。外からはみえないように[Thank you」と握手をしながら渡します。


気になるお値段ですが、1時間3000ポンド(約50万円)前後が多いです。スイスのサンモリッツまでは約2時間。


イギリスのアッパークラスは、家族旅行へも子守り(ナニー)をつれていくことが多いのでそういうことを考えると、普通のコマーシャルフライトと金額的には大きくは変わらないのです。
コマーシャルフライトで、ロンドンからチューリッヒまでビジネスクラスで(ヨーロッパ便にはファーストクラスはありません)一人往復1500ポンド(約25万円)前後。チューリッヒ空港からホテルで手配した車でホテルまで片道約1000ポンド(約15万円)。


そうすると家族および使用人を含めて5人だと1万ポンドにはなります。こう考えると、プライベートジェットを利用するイギリス人が多いのも納得ですよね。子供が飛行機の中を走り回っても誰にも迷惑がかかりません。パイロットの方とお話をしたり、パイロット席からの素晴らしい眺めを楽しむこともできます。

旅は優雅に・・「優雅に楽しむことができない旅行をするのなら、旅行の意味がないから行かないほうがいい」英国人の友人たちがよく口にする言葉です。


滞在期間を気にする必要がない英国上流社会の考え方は今でも多くの英国人の心にあるのです。

人気の投稿