英国総選挙、ハングパーラメント、英国の階級


ボケーション(ボルケーノ+バケーション)から無事に帰ってきました。

前回のブログで「モーリシャスの一流ホテルではコロニアルスタイルの素晴らしいサービスが受けられる」という紹介をしましたが、素晴らしいサービスってどういうことなのか、というご質問をいただきましたので、簡単にご説明させていただきます。

まずビーチはホテルのプライベートビーチでデッキチェアーには花の香りのするやわらかいエジプシャンコットンのシーツがかけられ、同じくやわらかいタオルがうつくしく置かれています。デッキチェアーに横になるとすぐに制服をきたサービスマン(ウーマン)がつめたいおしぼりとミネラルウォーターのボトルをくれ、顔にはフレッシュナーをふきかけてくれ、サングラスを磨いてくれます。午前11時にはフルーツ、午後4時にはシャーベットがサービスされます。もちろんタオルは好きなだけもってこさせることができますし、シャンパンでもティーでも注文することができます。

部屋では毎日バトラーが、花びらが散らされ、美しくキャンドルがともされたお風呂の用意をしてくれ、荷物ほどきからパッキングまですべて彼らがしてくれます。食事はレストランでもよいのですが、専用のシェフを頼んでビーチでプライベートディナーを楽しむこともできます。認定インストラクターの方をはじめ、インターネットマガジンをご購読いただいている方にはこちらで特集しますのでお楽しみに!

さて、こんな大英帝国貴族のホリデーを楽しんでかえってきたら、英国中は、すっかり現実にもどされる白熱の選挙運動の最終段階。バブル経済が破綻し、政治家の公費乱用などが発覚した後で、「世紀の選挙」とまでいわれ、階級にかかわらず国民の話題は選挙のみ。大きな党は、The Conservative Party (保守党)党のカラー:ブルー、The Labour Party(労働党)党のカラー:レッド,The Liberal Democratic Party(自由民主党)党のカラー:イエローの3つで、現政権はニューレーバーとして1997年から政権を握ってきた労働党です。

党首同士の討論会が生放送され、お互いに立ったまま、何も台本も下書きもなく、真っ向から議論する姿は、子供の頃から鍛えた議論術をすべてだしきった「議論好きの英国人」、さすがです。こういう人たちと交渉しなくてはいけない日本の政治家はさぞ大変だろうなと思った日本人の方も多かったはず。
5月6日木曜日の選挙日。アメリカの大統領選挙とは違い、当選した政治家の党が数えられ、326席を獲得した党の党首が総理大臣となります。

「席数はちがうけれど、制度は日本と同じですね」とおっしゃった生徒様がいらっしゃいましたが、日本と同じなのではなく、日本が英国と同じなのです。明治維新後、近代国家を目指した日本が、英国の政治体制を貴族制度とともに輸入したのです。大統領と総理大臣との差がよくわからない、という方がいらっしゃいましたが、基本的に立憲君主国は君主の下に総理大臣をおき、アメリカのように君主がいない国は大統領、となるわけです。

午後10時の投票終了と同時に多くのテレビ番組は選挙速報に切り替わりました。75%の投票率という通常の倍の投票率に、投票所によっては行列ができる場所もあり、まだ投票するために多くの人が並んでいるのに、投票終了時間だからと、投票所を閉鎖するという考えられない事件もおこりました。時間とともに次々と当選が発表され、党のカラーが当選地区に彩られていきます。

スコットランドをはじめ、英国北部は真っ赤になり、英国南部はブルー(ところどころにイエロー)と、一時は階級差がなくなってきたといわれた英国ですが、また昔のように階級差が広がりつつあることを示す結果となりました。昔から英国は「NorthとSouth」ということばがあり、映画やドラマもできています。

つまり、スコットランドおよび英国北部が「労働者階級」、ロンドンを中心とする英国南部が「裕福な階級・上流階級」とわかれていたのです。基本的に保守党は上流階級・アッパーミドル、労働党は労働者階級、自由民主党は中流階級・アッパーミドルが支持するといわれていますので今回、はっきりと国民がその意思表示をしたわけです。

朝まで寝ないでテレビの前に張り付いて結果を見守り、寝不足になった英国人がほとんどでした。朝になっても新しい総理大臣はきまらず、金曜日夜の最終結果は、労働党が大きく票を失い、保守党が票を獲得しましたが、326席にはいたらず、完全な勝者のいない「ハング パーラメント」となりました。ハング パーラメントとは、文字通り、ぶらさがって安定していない国会のことです。ポンドが暴落しましたので、ゴールデンウィークに英国を訪れた日本人の方はとても楽しいお買い物をなさったことと思います。

現在保守党と自由民主党の連合政権ができるかどうか毎日党首の話し合いが続いていますがまだまとまらないようです。

最悪の場合には女王陛下が首相を指定することもできる権限がありますが、どうなることか・・。

各党の動きとパレス(女王陛下)の動きがひっきりなしに報道される日がまだ続きそうです。

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