サンデーディナー

8月のロンドンをはじめパリ、ローマなどヨーロッパの大都市では多くの方々がホリデーにでかけてしまうため、レストラン、特に一流レストランは1か月お休みというところも多いので、せっかくご旅行に日本から来られたのにがっかり、という日本人の方もいらしたのではないでしょうか。

英国・ヨーロッパでは、6月から9月中旬にかけて、1か月前後の休みをとる方が多いのですが(3ヶ月間お休みという方ももちろんいらしゃいますが)この間別荘やホテルなど同じ場所に滞在する方もいれば1週間ビーチ、1週間湖というように場所を変えこともあります。

日本のツアーのように1週間で5都市を観光ということは絶対にありません。観光の場合でも1都市にゆっくりと滞在します。

8月の中旬になるとホリデーにでかけていた人達がだんだんと都市に戻り始めます。
久しぶりに会う友人・家族との食事はやはりサンデーディナーです。

サンデーディナーというのは日曜日にいただくごちそうのことです。ディナーとは夕食のことではなく、1日の中でいちばん重い食事のこと。日曜日は伝統的に教会のミサに出席します。サーバントのいるお宅もサーバントを連れてミサに出席します。サーバントは教会に出かける前にオーブンにビーフかチキンをいれておきます。そうすると、ミサから帰るとロースト料理ができあがっているわけです。

教会から帰り、いただくこのロースト料理がサンデーディナーです。サンデーロースト、サンデーランチということもありますが、ランチという言い方正式はではありません。

ランチというのはランチョンの略で、ヨーロッパ大陸の言葉です。英国では伝統的に朝食をいただき、アフタヌーンティー、ディナーでしたからランチという慣習も言葉もなかったのです。

レストラン、ホテル、パブなどサンデーローストをいただける場所ではたくさんの英国人・家族連れがみられます。

特にロンドンに住んでいるとなかなか「英国人」に会うことができない、という意見をよく聞くのですが、ぜひこのサンデーディナーにお出かけになられてみてください。英国の伝統的な慣習を実際にみることができます。

ただし、何カ月も予約でいっぱい、という場合も多いので早めに予約をしましょう。パブでは予約はいりません。

ロンドンですと、シンプソンズかハロッズのジョージアンレストランが有名でよく行きますが、個人的にはロンドン郊外のホテルがお勧めです。

(写真1 ロンドン郊外のホテル)

バーでゆっくりと食前酒をいただいき、そのあとテーブル席に案内されます。
伝統的な前菜はスモークサーモンです。

(写真2 スモークサーモン)


ブラウンブレッドにバターがぬられたものが添えられますので、サーモンをいただいて、このパンをかじってもよろしいですし、
サーモンを切って、このパンにのせていただいても結構です。このパンは片手で持っていただきましょう。通常のパンでしたら必ずちぎって一口サイズにしていただきますがこの付け合わせのパンはそのままかじっていただきます。

そしてメインのローストビーフです。

(写真3 ローストビーフ)

付け合わせの温野菜は別にサービスされることが正式です。

自宅でサンデーディナーをいただくとき、はじめからすべてメイン皿にいれてサービスするのではなく、温野菜は別のお皿(ベジタブル皿)にいれてサービスしましょう。レストランの場合ウェイターがサービスしてくれますが(シルバーサービス)、自分たちで取り分ける場合には、まず女性、それから男性です。

男性が女性に温野菜のお皿回してあげます。頼まれない限り絶対に取り分けてあげることはしないように。男性が女性の取り分をきめているようで、よくないマナーです。女性は自分が取りたいだけいただけるのです!

そのほかローストポテト、ヨークシャープディングがつきます。ヨークシャープディングは日本人の方々にも、とてもおいしいと評判です。ホースラディッシュかマスタードをつけて召し上がっても結構です

デザートは英語ではプディングといいます。つまり、蒸したケーキのことですね。

チョコレートプディングは伝統的ですが、夏はやはりストロベリーのシーズン。(日本とはシーズンが違うようですね)


写真のようにストロベリーを使ったデザートがお勧めです。
プディングフォーク、スプーンを使っていただきます。

この後食後酒、コーヒーをいただきます。食後はコーヒーが正式です。

午後12時から午後4時まで友人や家族とゆっくりとお話をしながらいただくサンデーディナー。
多くの英国人が「大変幸せだ」と感じる大切な時間です。

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