社交界デビュー (1)

クイーンシャーロットボールは200年以上前から続いた英国の最も有名な社交界デビューボールです。

以前にも触れましたが、「ボール BALL」というのは舞踏会、つまり華やかなダンスパーティーのことです。

女王陛下が社交界デビューをするレディー達の名前を一人一人読み上げ、女王陛下にご挨拶をし、社交界に正式に紹介された行事でした。

社交界デビュー、この大切なパーティーのことを英語ではDebutantesデビュタンツといいます。

第2次世界大戦が終わるまでの英国は階級社会が現在とは比べ物にならないほどはっきりしていました。

2つの世界大戦が英国の階級制度を崩壊させ、大英帝国を英国連邦へと追い込んだ、といわれています。

階級がはっきりとわかれていた時代には、「上流階級のお嬢様」という枠ははっきりしており、女王陛下主催のデビュタンツに招待される家柄もすべて決まっていました。

医師や弁護士といった今ではアッパーミドルクラスといわれる家柄も依然は「中流階級」つまりミドルクラスといわれ、「働く」階級として下に見られていました。つまり社交界デビューはできなかった(必要がなかったというべきでしょうか)のです。

英語では月曜日から金曜日までをウィークデー、土曜日、日曜日をウィークエンドと呼びますが、上流階級ではこの言葉は使用しません。「ウィークエンドって何?」と聞かれた上流階級の方を私自身多く知っています。

つまり、上流階級とは働く必要がない階級のこと。曜日の感覚はないのです。彼らの収入は世界中にある不動産、土地、株式、投資からの収入で月の収入(場合によっては1日の収入!)が何億ポンド(億円)という家も少なくありません。億以下の単位は数えない(というか知らないのでしょうか)、という方もいます。

ところが現在は、階級がわかれてはいるものの、以前ほど歴然とはしておらず、また階級を超えた結婚もみられるようになりました。

「成金」といわれるサッカー選手などのカテゴリーも現れ始め、「社交界」そのものがはっきりとしなくなってきました。

現在のロイヤルアスコットなどにみられるように上流階級と労働者階級が入り乱れるようになっていったため、クイーンシャーロットボールは、約13年前に開催を取りやめることになりました。

なぜ私がはっきりと13年と覚えているかというと、私がはじめて英国に留学した年だったからです、どのパーティーにでかけても話題は「クイーンシャーロットボールが開催されない」といことでもちきりでした。

英国人の友人のお母様達のクイーンシャーロットボールでの社交界デビューの写真をみせていただきながら、「大英帝国」そのままの素晴らしいペーティーの様子にため息をついたのを覚えています。

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