社交界デビュー (2)
そのクイーンシャーロットボールが昨年再開されることになりました。
あまりにもコスモポリタンになってしまったロンドンに愛想をつかす英国人も多くなり、旧植民地に遠慮して英国の伝統文化を表現することをためらっていた英国人ですが、(なんとなく日本とアジア諸国の関係に似ていますが)、ここままではいけないと、様々な伝統行事が開催されるようになりました。
このクイーンシャーロットボール再開もこの一環です。
ただし、いくつか現代化された部分があります。
まずデビューするお嬢様達ですが、家柄ではなく、学問・文化・チャリティー活動などで功績のある若い女性が選ばれました。ドレスや宝石も各家が用意するのではなく、「スポンサー」が用意したものを借ります。
英国のロイヤルファミリーの出席はなく、外国のロイヤルファミリーと英国貴族が貴賓として参加するにとどまりました。パリのクリオンボール同様、宝石はミキモトがスポンサーです。
さすが「世界のミキモト」うれしい限りです。ドレスは社交界デビュー用のドレスではなく、イメージが近いものとしてウェディングドレスとなりました。(スポンサーがウェディングドレスの会社ということもあります)
また、時期も本来なら社交シーズンが始まる前なのですが、学校の試験などが考慮され(英国は9月から新学期がはじまり、7月に終了します)、9月開催となりました。
オリジナルのクイーンシャーロットボールとは、多少雰囲気が変わったとはいえ、真っ白で豪華なドレスに身を包み、素敵な男性にエスコートされて登場し、お父様とダンスをおどる姿は本当にため息・・・涙まで出てきてしまいます・・。
最近の他のボール同様、チャリティーオークションのあと、ワルツではなくディスコダンスとはなりますが、なにしろ時代は21世紀。ワルツだけですませては若い方々には物足りなく感じてしまうのかもしれません。
そうです、大切なことを忘れていました。たくさんの生徒様からよくいただく質問です。
「社交界デビューってなんですか?」
社交界デビューというのは、若い女性が、もう結婚適齢期になりました、お嫁に行くためのマナーや知識もすべて身につけ、一人前のレディーとなりましたよ、という意味です。実際には男性は、社交界デビューした女性を彼女の家族といっしょではなく、彼女だけお誘いできるのです。
パーティーへの出席は女性は必ず男性にエスコートされて出席します。社交界デビュー前には家族と参加、社交界デビュー後は誘ってくださった男性にエスコートされて参加します。
女性がパーティーに一人で参加しないという点は、ビジネス上のパーティーを除き現在でも変わりません。
たとえ友人の結婚式でも招待状には「Miss – and Her Guest 」と記載されています。つまり女性が一人で参加することもないし、一人だけお誘いしてはいけないわけです。
ですから、いっしょに参加してくれる男性がいない場合にはお兄様や弟様と一緒に参加することになってしまい友人達から「もっとも悲しいケース」なんてからかわれてしまいます。
最近はゲイの男性が大もてです。なぜから、彼らは男性ですから彼らにエスコートしてもらってパーティーに参加できます。
でも彼らは女性には興味がないわけですから「誤解」されることもないのです。これは以前にも書きましたが現在の欧米女性の多くはBGFを持っています。
社交界デビューは伝統的に16-17歳。もちろん現在ではすぐに結婚する方はいませんので、正式なパーティーに家族なしで参加できる年になりました、という意味にとらえているようです。ちょっと自由の身になったレディー達ですが、絶対に自分から男性を誘ってはいけません。
ではどうするのか?
そこは21世紀のレディー達、「彼から誘うようにしかける」わけです。そしてヤングジェントルマンたちも、しっかりとその合図をキャッチしなくてはいけません。レディーに恥をかかせてはいけない、これは昔も現代のモダンマナーもかわりません。
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