ウィリアム王子のロイヤルウェディングではじまった感のある今年のザ・シーズン(夏の社交シーズン)ですが、そのメインイベントでもあるロイヤルアスコットが6月14日から5日間開催されました。女王陛下も必ず5日間いらっしゃる、お気に入りのシーズンイベントです。女王陛下はテニスはあまりお好きではなく、ウィンブルドンへは顔をだされない、というお話は去年させていただいたと思います。毎日午後2時に女王陛下及びロイヤルファミリーの乗った馬車がレースコースの一部をパレードする光景はすばらしいものです。以前にも書きましたが、女王陛下のパレードのときには、全員起立、女性は帽子をかぶり、男性はトップハットをとります。
ロイヤルアスコット内は3つのランクにわかれています。ロイヤルエンクロージャー、グランドスタンド、シルバーリングです。ここ数年、グランドスタンドの品が急激に落ち、「ストリップクラブ」「ホワイトトラッシュ」などと呼ばれています。伝統的な貴族の遊びであるロイヤルアスコットを楽しみたかったらロイヤルエンクロージャーのみです。プライベートボックスもゆっくりできて好きなのですが、やはりロイヤルエンクロージャーのほうがいいでしょう。ただしロイヤルエンクロージャーのチケットは発売されていません。ロイヤルエンクロージャーバッジホルダーにならなくてはいけません。各国大使館には女王陛下から毎年バッジが配られます。
(写真 ロイヤルエンクロージャーのバッジ保持者のみ)
(写真 ロイヤルエンクロージャーテラス)
これがロイヤルエンクロージャーのテラスです。下のグリーン(Lawns といいます)もロイヤルエンクロージャーです。向こう側にたくさんの人がいるグリーンがありますが、あちらがグランドスタンドLawns です。ロイヤルエンクロージャーがゆったりとしているのに対し、グランドスタンドは人でいっぱいなのがわかります。毎年新聞でもその「荒れよう」は報道されますが
残念ながらただの「酔っ払い集団」です。
(写真 ロイヤルエンクロージャー グリーン)
ロイヤルエンクロージャーでは、テラスではシャンパンなどを飲んでいてかまいませんが、グリーン(ローン)ではいけません。グランドスタンドと違い、ロイヤルエンクロージャーでは男性は全員モーニングにトップハットがドレスコードになっています。女性も膝が隠れる丈、肩を覆い、帽子をかぶらなくてはいけません。ただし、ドレス丈に関しては、多少膝がみえていても大丈夫になってきました。ミニ丈は入場を断られます。
インターネットでも購入できるチケットはグランドスタンドかシルバーリングです。これらを購入して(数十ポンドで購入できるようです)期待していったのに、よっぱらいにからまれてがっかり、という生徒様も多いので、グランドスタンドをロイヤルアスコットだとは思わないように。ここにも階級があらわれているのです。つまり、ドレスコードというのはどこに属しているかを表しているわけです。グランドスタンドのドレスコードはロイヤルエンクロージャーとは全く違い、ジーンズはいけませんが、普通のスーツでかまいません。グランドスタンドでもモーニングにトップハットという男性もいますが、ただのスーツという人も多く、女性のスカート丈は限りなく短いものをはいている女性が多くなりました。
(写真 正装のジェントルマン達)
これが、本当のロイヤルアスコット。正装したジェントルマン達です。左胸につけている赤いバッジがロイヤルエンクロージャーのバッジです。すべてに本人の名前が印刷されています。バッジのデザインは毎年変わります。
(写真 リトルジェントルマン)
金曜日と土曜日には10歳ー以上の子供の参加も許されています。もちろん彼らも大人と同じドレスコードです。10歳以下は参加できません。
(写真 挨拶の仕方)
ジェントルマンコースを受講なさった方から必ずいただく質問が「トップハットを被っているときの挨拶の仕方」です。会った時、またはさよならをいうときには写真のようにトップハットをかるくおさえ、ほんの少しお辞儀をします。必ず相手の目をみるように。かかとはそろえ、背はまっすぐに。
ロイヤルエンクロージャー内のバーでは必ず知り合いにばったり出会います。これが「ザ・シーズン」つまり、社交なわけです。
数か月英国を離れていて、シーズンのために帰ってきたという英国人友人も多いので、久しぶりにおしゃべりに花を咲かせます。
(写真 友人達とバーで)
(写真 ロイヤルエンクロージャーにて)
今年のバッジは赤いデザインだったのでドレスとぴったりでした。テラスやローンにでるときにはショールで肩を覆います。
(写真 ロイヤルエンクロージャーガーデン)
ロイヤルエンクロージャーガーデンにはレストランもあり、ランチ、アフタヌーンティーなどをゆったりといただきます。ザ・シーズン中のアフタヌーンティーには、必ずストロベリーとクリームがサービスされます。ティーはもちろんダージリンファーストフラッシュです。
(写真 ロイヤルエンクロージャー内のレストラン)
ロイヤルエンクロージャーガーデンには3つのレストランがあります。Norfolkレストラン、アスコットグリルレストラン、シーフードレストランです。すべてもちろん予約制。5日間毎日通うことが多いので、これらのレストランを1日ずつと、ロイヤルエンクロージャー駐車場でケータリングをお願いしてピクニックの日もあります。5日間必ずランチだけではなくアフタヌーンティーもいただきます。
(写真 ロイヤルエンクロージャーの駐車場でのケータリング)
(写真 タイムトリップ)
ロイヤルエンクロージャーガーデンにあるたくさんの像は、タイムトリップした気分になります。
エレガントに正装したジェントルマン達に囲まれ、美しい帽子とドレスに身を包んだ女性達、優雅なアフタヌーンティー。競馬が貴族の遊びであることを十分に思い起こさせてくれるロイヤルアスコットはザ・シーズンの中でも私の一番のお気に入りの社交行事です。