グアドループ（Guadelupe）から愛をこめて。

2月 27, 2013

グアドループ（Guadelupe）から愛をこめて。

私は今カリブ海の島、グアドループ（Guadelupe）にいます。

毎年この時期、ハーフターム（英国の学校の学期中休み）は友人たちと一緒に子供を連れてスイスのサンモリッツで過ごすのですが、今年は娘の学校でのスキー旅行がハーフターム中に行われることになったため、フランス人友人の招待を受けてこのグアドループにやってきました。

グアドループ？と思われる方も多いはず。英国人友人たちからも「どこ？」ときかれ、世界中どこにでも直行便があることで有名なロンドンからの直行便がありませんでした。それもそのはず。ここはフランス領なのです。実はモーリシャスやバルバドスと同じように、旧英国領（今も英国連邦）のフランス版だと思い、「通貨は何？」と聞いた私に「フランスだからユーロよ、もちろん」と冷めた返事をされてしまい、自分の無知に恥ずかしくなってしまいました・・・ここはフランスから独立いていないため、フランスなのです。

実はお互い好きあっているのに喧嘩ばかりのフランス人とイギリス人、「イギリス人の友人たちはグアドループのことをよく知らなかった」とフランス人に言うと、「ああ、イギリス人は英国連邦以外の国を知らないのよ」という冷たい返事。イギリス人に、「グアドループはフランスから独立しなかった、きっと今のままでハッピーなのね」と言うと、「ああ、フランス人は植民地にした後きちんと教育をしてあげないから、独立できることを知らせなかったのよ」という返事が返ってくる始末。でも実はお互いの文化を尊重しているんですよね、ライバル意識が強い兄弟のようです。

モーリシャスとは逆に、１６３５年からフランス領になってから、1759年ー1763年、1810年ー1816年の間は英国に支配されましたがそれ以外の期間はずっとフランス領として残りました。もともとは黒人奴隷を使ってサトウキビの栽培がされていた場所で、今でもサトウキビ畑の多くはフランス人がオーナーです。もちろん奴隷制は廃止されています。今回のお誘いも「うちのサトウキビ畑からとれたラム酒を飲みに来ない？」というものでした。この領主制のおかげで、今でも古い伝統や文化が残っています。領主制はもちろん領主次第で決まってしまう、という難点はあるでしょうけれど、グアドループの場合には、「領主が家族の面倒をみてくれる、失業の心配もない」というように領主制がよい形で民衆に受けいられています。

私のフランス友人もそうですが、黒人の従業員はみな家族同様です。貴族であることを誇るでもなく、皆と同じテーブルにつき、一緒に食事もします。英国では王室があり、貴族制度が今でもありますが、フランスはフランス革命などをたどり今は共和国。貴族制度はありません。友人も名前に貴族の名前が残っていますし領地もありますが、あまり公にはしません。ここが英国貴族とフランス貴族の大きな差です。あるフランス貴族の奥様がその名前を使って本を書いたところ、大変な批判を受けたそうです。「わがフランスは共和国である。共和国に貴族制度は存在しない」と。友人もよく、「貴族の家系ってばれたらギロチンかしら」なんて冗談をいったりしていますが・・

話はもどりますが、この貴族制や領主制のおかげで残っている古き良き伝統も存在するわけです。初めの写真のように「典型的な」カリブ海の美しい白い砂浜のビーチがほとんどですが、火山があるために、火山灰からできためずらしい「黒い砂のビーチ」もここにはあります。